名古屋を拠点に全国で活動する経営コンサルタントの毛利京申です...
2023/12/27
名古屋を拠点に全国で活動する経営コンサルタントの毛利京申です。
こんにちは
早速ですが、運送業の『2024年問題』言われるドライバーの勤務時間の規制が来春から施行されます。
運送会社の立場では、どうしようもないことだと考えている企業も少なくありません。
そこで、驚いたのは、更に政府は、「トラックGメン」という組織を立ち上げたことです。
現在、運送業者は、ガソリンの高騰や人材不足により、急激な労働力の悪化に加え、更にドライバーの労働時間の圧縮により、どうしてもマンパワーを強化したいところですが、運賃の増額請求もできないまま倒産する企業も出てきているので、不当な要求などを続ける荷主企業を摘発し、運送業界の適正化につなげようと、政府が新設した部隊だそうだ。
ある雑誌によると、トラックGメンが運送会社にヒアリングしたところ、「荷主の不適切な行い」を告発した運送会社は1割弱しかいないというのだ。
私も今まで2社ほど運送会社をコンサルしてきましたが、なかなか荷主に値上がり分を換価できないことは、肌で感じていました。
これは、運送業者だけではないと思いますが、荷主も周りの動きを見てから判断するというスタンスの会社が多いので、すんなり「いいですよ」とは言ってくれない。
にもまして、トラック業界は、荷を下ろすための待ちの渋滞や高速道路の3日間に亙る大雪による渋滞、事故渋滞などが年に数回あり、荷物を約束の時間までに届けることができないので、他のトラックや他の人が代わりに運ぶというような人材やトラックを確保できる会社は少ないので、一度事故により歯車が狂うと、全て後ろまで狂ってしまう。
そんな業種でもあるので、荷主にプラスαのサービスを届けることが難しいので、単に料金を上げるだけでは、すんなりとはいきません。
巷の運送ビジネスは、そんなに綺麗なものではありません。
中には、背中に紋々を背負うドライバーも少なからずいる業界です。
物流の2024年問題をクリアしている。
すなわちトラックドライバーの年間時間外労働時間を960時間以内に収めつつ、その他の労務コンプライアンスもクリアしていて、かつ経営状態も健全で、ドライバーに高い給与を支払うことができている。
そんな企業がどれだけいるのか?
ホワイトな運送会社はもちろん何も問題はありません。
中には、突発的に仕事が入る場合があるし、同業者から頼まれることもある。
一度は、儲けのある仕事だと思って、次の仕事を受けると、とんでも仕事を請け負うことになる。
正攻法で金払いの良い大手企業からの仕事ばかりではありません。
だが、そうではない運送会社にとって、クリアするための選択肢は多くないのが現状です。
仕事を減らして、長時間労働を是正するか、長時間労働の原因となる自主荷役や長い荷待ちを不当に要求する荷主とは縁を切るか、それともコンプライアンス違反を受け入れて、いつか来るであろうトラック協会(実施機関)の巡回指導や運輸局の監査、そしてその先に控える行政処分等に怯えながら汚れ仕事をそのまま受け続けるのか?
正攻法は、荷主に対してコンプライアンス違反につながる荷役、荷待ちなどの是正を申し入れた上で、運賃値上げ交渉を行い、待遇改善を実現することだが、これが難しいのです。
運送会社は荷主に対し、立場が弱い。
これまでであれば、何か意見をしようものならば、「ウチの仕事に文句があるのかな? だったら辞めてもらって構わないよ。だって、運送会社はほかにもたくさんあるから」と言われるのがオチだと思います。
そんなことを政府がGメンにより、正すと簡単に言うが、告発したとしても「はい、私が悪うござんした。」と素直に聞き入れて、また契約を継続するとは考えづらい。
それでも、ドライバーの労働環境や、経営の健全化には、荷主の協力が欠かせない。なぜならば、運送会社は荷主の指示を受けて運送業務を遂行する立場であり、荷主の許しがなければ、たとえば配送時間指定の変更など、ささいな運送プロセスの改善すらできないことは明白です。
しかし、「物流の2024年問題」が叫ばれ始めたことで、これまでの運送会社と、荷主とのパワーバランスが変わろうとしている。とは言え、現実的には、これまでずっと続いてきた荷主vs運送会社の関係がそうそう簡単に変わるわけもないと思うであります。
政府は、どんなことに対しても難しく、ややこしく考えて、安直に縛りを作ることが得意です。
500億円の税収を見込み、3兆もかけて作ったマイナンバーカード、インボイス制度、年収の3分の1までしか借りることができない貸金業法の改定など本当に仕事がしづらい環境になってきました。
私は、この2024年問題について、雑誌社からコラムを頼まれて書きましたが、その内容は、簡単に言うと、私のクライアントに指導したことですが、儲けて、高い給与を出すと、若いいいドライバーが入り、仕事も他社と差別化できることになれば、ライバル社が参入して横やりが入ることがないので、そうして備えなさいというものでした。
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